ABS学術対策チームよりお知らせ 7/1

ABSチームより

OEWG4報告
「ポスト2020生物多様性枠組」第4回公開作業部会(OEWG4) 概要

2022年6月21日〜26日の会期でケニア共和国 ナイロビにて、第4回ワーキンググループ会合(OEWG4)が開催された。主な議題は、poset2020 Global Biodiversity Framework(議題4:GBF)とデジタル配列情報(DSI)に関する利益配分(議題5:DSI)である。

 

議題4:GBFに関しては、 多くのターゲットで未解決の問題が残った。
DSI関連としては、アクセスと利益配分に関するターゲット13についてはかなりの作業が残されている。ターゲット13についてDSI、派生物などがブラケット付きながら記載されている。アフリカグループなど多くの国がDSIを含まずGBFの合意がないと表明している。COP15の前にGBFに関する第5回のワーキング会合の3日間の開催が提案された。

 

議題5:DSIに関して、2回の全体会議、2回のコンタクトグループ(CG)、3回のフレンドオブチェアー会議(FOC)が開催された。OEWG3で決定された勧告案(3/2)をもとに議論がなされた。特に、現在共通点、剥離点について議論がなされた。
アフリカグループからは、遺伝資源由来の商業的収入の小売価格の1%の利益配分を行う多数国間メカニズムの主張を繰り返した。南米グループはDSIのトレーサビリティーや、利益配分システムのハイブリッド案を主張した。

議論の結果、COP15に向けた勧告案が作成されたが、ほとんどの文章には、未確定を示す、括弧付きであった。
事項として、「DSIの範囲(DSIはすべての遺伝資源に関する情報等)」「データーベースの国・地域のタグ付き」「派生物、伝統的知識への関与」、「トレーサビリティー」、「法的確実性と明確性」、「解決策が条約の範囲であること」、「利益配分の多数国間および二カ国間のハイブリッドシステム」が含まれている。

https://www.cbd.int/doc/c/4727/1283/7afde2d3076c853c24c6bd95/wg2020-04-l-03-en.pdf

 

日本からは最終日の全体会議でステートメントを表明した。
・DSIに関する議論は、研究およびイノベーションに不可欠なオープンアクセスに影響を与えるものである。
・多くのステークホルダー、セクターが大きな利害関係を有しており、包括性、透明性、説明責任を確保することが極めて重要である。
・複数のステークホルダーの参加と関与、およびコンサルタントによる評価に関する必要な報告書と委託項目情報の共有の重要性を強調する。
・これらは最終結論を得るためにブラケット付きの文章をただきれいにするだけではなく、適切かつ明確な成果を求めて締約国が真剣に議論するための鍵となる。

 

議論は並行線のままであるが、途上国側の意見はさらに強いものとなっている。一方、科学のオープン性について述べた日本のステートメントは、特筆すべきものである。
今後、9月には専門家による多項目分析(MCA)の結果が非公式アドバイザリー会議(IAG)に報告される。モントリオールで12月17日から開催されるCOP15第二部に向かい、議論はさらなる激しいものとなることが予測される。