[質問]
ゼリー等、ゲル化した物質は温度が上がると、水分を放出してしまいます。空気の飽和水蒸気量、水中の塩分濃度のように温度が上がるほど水に溶ける量が多くなると思いますが、ゲル化した物質がこれらとは反対の特性を示す理由を教えてください。
(ペンネーム:タングラムさん)
[回答]
ゼリー等は、物理ゲルと言われ、タンパク質等の天然高分子同士が水素結合という比較的弱い結合で手を繋ぎ合わせ(架橋)ており、熱を加えると架橋が切れ、液体化します。一方、温度応答性ゲルは、強い共有結合で架橋されており、熱を加えても崩壊しません。化学架橋される高分子には、水になじみやすい親水基と水を嫌う疎水基がバランスよく配置されていますが、バランスが崩れると熱で崩壊してしまいます。どのように高分子を設計するのかも研究のやり甲斐の一つです。
- 私が「なして?」にお答えしました!
- 呉羽 拓真
- [ 弘前大学理工学研究科 物質創成化学科 助教 ]