- 杉本和那美
- SUGIMOTO KANAMI
- [ 教育学部 保健体育講座 准教授 ]
ハードル走は好きですか?
今回は「子どものハードル走」についての研究です。
みなさんは学校の授業で、ハードル走に挑戦したことがありますか?挑戦したことがある人は、ハードル走に対してどのような感想を持ったでしょうか。
実は、多くの子どもは上手な跳び方がわからず「怖い」と感じており、学校の先生も指導の難しさに悩んでいる種目なのです。
弘前大学の杉本和那美先生は、自身がハードル走の選手だったことから、子どもたちにハードル走の楽しさを知って欲しいと思い、子どもを対象として、ハードル走についての研究をしています。
ハードル走の複雑さ
ハードル走は、小学校で体育の教材として導入されていますが、学校の先生からは、何を指導して良いのか、どうなれば良いのかわからないと言った声を耳にすることもあり、適切な指導が難しい種目です。また、子どもたちが苦手意識を持ちやすい種目でもあります。その原因は、ハードル走ならではの複雑さにあります。
ハードル走は、ハードルの高さやハードル間の距離を設定しますが、その設定には年齢や体格など、多くの条件があります。さらに、設定に合わせて、走るリズムや跳び方も変えなければいけません。このように、ハードル走は様々な条件や技術を伴う複雑な種目なのです。
そしてこの複雑さは、研究自体も困難にしています。そのため、子どものハードル走に関する研究は少なく、適切な設定条件や技術の習得段階などが不明確なままであるため、これらを解明していくことが重要となっています。
運動を科学で解き明かす
杉本先生は、科学的な視点から、子どもたちが行うハードル走について分析をしています。では、どのように分析をしているのでしょうか。
まずは、子どもたちがハードル走をしている様子を撮影します。そこから、身体の動きをわかりやすく可視化したり、腕や脚の角度を数値化したりします。これが、科学的に分析することの大きな特徴です。これにより、習熟過程や上手な身体の動かし方を明らかにしています。
そして杉本先生は、それを教育現場で活用させたいと考えています。そうすることにより、学校の先生も教えやすくなり、子どもたちも取り組みやすくなります。
ハードル走などの運動を科学的に解明することは、時間と手間がかかります。しかし、子どもたちが運動を楽しんで成長していくためには、必要不可欠な研究でもあります。
最後に、杉本先生からのメッセージ
自分の思うように身体を動かすことが出来れば、子どもたちはもっと運動を楽しめるはずです。そのために、子どもたちを支える人が増えてほしいと思います。
研究室では、学生それぞれが、運動やスポーツに関する研究をしています。その研究対象は、小学生の体育授業や大学生のスポーツパフォーマンス、幼児の運動発達などさまざまです。
みなさんも、幅広い視点で子どもの運動について考えてみませんか。未来の子どもたちの運動を支えるのは、みなさんです。
小学生ハードル走の連続写真とスティックピクチャー
陸奥新報社 2024年(令和6年)7月1日 掲載(PDF)
ライター:人文社会科学部4年 鹿内 日愛
イラスト:弘前大学大学院地域共創科学研究科 赤沼 しおり
担当 :弘前大学研究・イノベーション推進機構