- 畑中杏美
- HATANAKA AZUMI
- [ 人文社会科学部 イギリス文学研究室 准教授 ]
自分の視点で解釈を
今回は「イギリス文学」についての研究です。
みなさんは英語で書かれた小説作品を読んだ経験はありますか?もしかすると、英語に対して苦手意識を持つ人もいるでしょう。また、日常的に本を読む機会が少ないという人もいるのではないでしょうか?
しかしながら、本を読むことにより、自分を見つめ直すきっかけになることや、海外の作品に触れることにより新たな世界を発見できる機会にもなります。
英語が苦手でも?…
日本語で書かれた小説は読んだことがあるけど、英語で書かれた小説には触れたことがないという人もきっといるでしょう。「そもそも英語が苦手だから」と小説作品を読むことを避けていませんか?
実は、英語を母語としない人は、英語を母語とする人が普段読み流してしまうような些細な事柄に気づくことができる視点を持っているのです。そのため、英語が苦手でも時間をかけ少しずつ作品を読んでいくと、意外と様々なことに気づくことができるかもしれません。
弘前大学の畑中杏美先生は、英語で書かれた小説作品を研究しています。
畑中先生は、約150年前に書かれたイギリス文学の『ジェイン・エア』という小説作品をゼミの授業などで扱っています。今の世の中で150年前に英語で書かれた小説作品を読む意味はなんでしょうか?
『ジェイン・エア』は、主人公ジェインが、自らの子供時代から、教師となり、愛する人と結ばれるに至るまでを語った作品で、彼女の悩みや苦しみが彼女自身の言葉で語られています。一人の人間として社会へ出ていこうとする中で困難にぶつかる彼女の苦悩は、今を生きる私たちにとっても、ごく身近なものと考えることができ、現代社会の状況と重ね合わせて読むことができます。
先生の研究の魅力は?
小説作品を読んで面白いと感じたこと、つまらないと感じたことなどを、自分なりの視点から切り取り、解釈して考えるという過程は難しいものですが、その過程を長く続けていけばいくほど面白さが変化していきます。そのため、是非ともみなさんには、独自の視点で小説作品を読んでいただき、「面白い!」と思える作品と出会ってほしいと思っています。
最後に、畑中先生からのメッセージ
英語で書かれたイギリス文学の世界にしか存在しない人物の経験など、現代の日本社会を生きる私たちの参考にはならないと思う人もいるかもしれません。しかし、作品に触れることで現代にも共通する課題があることに気づき、逆境に打ちのめされながらも、めげずに前進していく主人公の姿を描いた作家の心境を想像することができます。
自分たちが生きる世の中にとっての課題を、過去に書かれた作品に見出していくと、きっと面白い発見があるはずです。
英語で書かれた小説を読んで考える楽しさを通して、一緒に学びましょう!
ゼミの授業風景
陸奥新報社 2023年(令和5年)7月24日 掲載(PDF)
ライター:人文社会科学部社会経営課程地域行動コース4年 木村 愛華
イラスト:弘前大学教育学部 ひつじ玲汰
担当 :弘前大学研究・イノベーション推進機構