- 髙橋純平
- TAKAHASHI JUNPEI
- [ 大学院保健学研究科 総合リハビリテーション科学領域 助教 ]
一工夫で効果アップ
今回は「ストレッチの更なる可能性」についての研究です。
みなさんが体を動かす前や動かした後に行うストレッチ、このストレッチにプラスアルファの要素を加えることで、効果を高めることができるのをご存じですか?本学の髙橋純平先生は、このストレッチにプラスアルファを加えることに着目し研究を進めています。
マッサージとストレッチの違いって?
ところで、マッサージとストレッチの違いはご存じですか?マッサージは筋が硬く凝っている部分に刺激を与え、リラクセーション効果を与えます。ストレッチは筋自体を一定方向に伸ばすことで、筋に柔らかさを与え、可動域を広げます。
ストレッチ+マッサージの効果
髙橋先生は、ストレッチ効果により、筋の痛みを和らげつつ、可動域を広げ、普段の生活がもっと楽にならないかと考えていました。そこで、ストレッチにプラスアルファの要素としてマッサージの圧迫技術(指圧)を加えたところ、より関節の可動域が広くなったという結果を示すことができました。
しかし、ストレッチにマッサージを加えるとなぜ効果が上がるのかを科学的に示すことは難しいのです。理由の一つとして、ストレッチに関する研究は、筋自体の変化を直接測定できないという課題がありました。
筋の硬さを色で見ることができる!?
そこで効果を科学的に評価するために、超音波画像診断装置のエコー画像を応用し、筋自体の柔らかさを色で表し、数値化することで、ストレッチ効果を科学的に証明する研究を進めています。
この評価方法を用いると、ストレッチに筋を押す刺激を加えたことでどの程度、どの部分の筋が柔らかくなったかが判断できます。さらに研究が進むと、患者さんにより効果的な施術を提供することが可能となります。また、これまで培われたストレッチ理論と技術に、この評価方法を組み合わせることで、スポーツ選手等のパフォーマンスを更に向上させることができるのではないかと期待されています。
最後に、髙橋先生からのメッセージ
現在、一般的なストレッチ方法はある程度確立されていますが、ちょっとしたエッセンスを加えるだけで、効果がより上がる可能性があるということをぜひ知ってほしいです。また、今ある技術をより洗練させる研究はとても面白く、価値のあるものだと思います。筋力、柔軟性、バランスなど体を動かす基となっている能力についてもっと知りたいと思う学生は、是非髙橋研究室までお越しください!皆さんと研究室でお会いできる日を楽しみにしています。
ストレッチにマッサージの圧迫技術を加えた施術風景
陸奥新報社 2022年(令和4年)11月28日 掲載(PDF)
ライター:人文社会科学部社会経営課程地域行動コース 3年 木村愛華
イラスト:弘前大学教育学部 ひつじ玲汰
担当 :弘前大学研究・イノベーション推進機構