- 若狭幸
- WAKASA SACHI
- [ 地域戦略研究所 新エネルギー研究部門・地球熱利用総合工学研究室 助教 ]
年代測定で未来予測
今回は、まちづくりや観光資源と強く結びつく「地形の年代測定」についての研究です。
災害を予測、安全なまちづくり。そのためには「地形の履歴書をみる」?
自然災害の発生が多い日本ですが、「災害がいつ起こるか分かればいいのに」なんて思ったことはありませんか?実は地形の年代が分かればそのような予測ができるかもしれないのです。
地形の年代を測定するには、調査したい地形の構成物質である岩盤や土壌の成分を調べる必要があります。調べるためには、「タンデム型加速器」という機器を用います。この機器は、加速器質量分析法という方法で、分子の質量比を推定します。この値から、地形ができた年代を推定するための極微量物質の濃度を計算できるのです。
本学の若わか狭さ 幸さち先生は、このような方法などを使った地形の年代測定に取り組んでいます。地形のでき方を知れば、これから起こりうる災害の予測や今後の観光資源の活用等に結び付きます。また、その土地の地盤が安全かどうかも知ることができるため、安全なまちづくりにも応用ができます。過去を調査して未来の予測につなげられるなんて、とても実用的な研究だと思いませんか?
入るだけじゃない。温泉の高効率熱利用!
若狭先生はほかにも、青森県内に豊富に存在する「地球熱資源」を効率よく利用するための研究も行っています。この地球熱資源においても、地形調査を行い、どの土地にどれだけのエネルギーがあるのかを明らかにしています。地球熱の活用が普及し、人々が地球の熱をつかって効率的に暖房を使えるなんてエコでお得ですよね。地形の研究は、想像よりもはるかに身近な存在であり、私たちのくらしに役に立つものなのです。
最後に、若狭先生からのメッセージ
私の研究室では、岩石を溶かしたり、削ったりしてミクロの世界を見ている学生もいれば、温泉を使って熱帯果樹を育てている学生もいます。研究成果は世界的に発表できるものもあれば、地域社会に還元できるものもあり、多種多様です。興味のある方は是非いらしてください。
陸奥新報社 2022年(令和4年)8月22日 掲載(PDF)
ライター:人文社会科学部 3年 北畠実里
イラスト:弘前大学教育学部 ひつじ玲汰
担当 :弘前大学研究・イノベーション推進機構