- 渋田美羽
- SHIBUTA MIU
- [ 人文社会科学部 社会法研究室 講師 ]
[ グローバルWell-being総合研究所 ]
より快適に働くために
今回は、「私たちの生活を健やかにするためのルール~労働法とウェルビーイング(個人が身体的・精神的・社会的に満たされた健康な状態)~」についての研究です。
近年、長時間労働や過労自殺、ハラスメントなどの労働による健康への被害が多発しており、働く人のウェルビーイングへの関心が高まっています。私たちがより快適に働くためにはどうしたら良いのでしょうか。
弘前大学の渋田先生は働くことに関わる諸課題について、フランスを中心に他国と日本の労働法を比較検討し、その解決策を研究しています。
女性の健康課題に対する国の取り組み
月経や更年期症状など、女性特有の健康課題への対処は、社会的関心も高まっており、ヨーロッパを中心に世界中で議論が始まっています。
日本では1947年に施行された労働基準法により月経(生理)休暇の取得が権利として認められています。これは、国の法律として生理休暇を取り扱う世界で最も早い事例です。しかし、所得保障が定められていないこと、自らの健康や性にまつわる情報を上司へ申告することへの心理的なハードル、プライバシーの課題もあり、実際の取得率は0.9%と非常に低いのが現状です。
「ウェルビーイング休暇」など症状名を明示しない形で休暇を取得できる制度を整備することで、心理的ハードルやプライバシーを保護することは可能です。ただし、症状名を伏せることで、女性が抱える健康課題が社会的に見えにくくなってしまうという側面もあります。
そのため、制度の根拠や目的、法定休暇に限らず様々な方法が考えられることも含めて広く深く検討していくことが大切です。
最後に、渋田先生からのメッセージ
働くことは、ほぼすべての人の生活基盤であり、人生の多くを費やすものです。
働くことを規律する労働法は、学問として重要というだけでなく、皆さんや身近な人を守る重要な視点の一つといえます。1人でも多くの方と共に学び、労働法を“使える知識”として身につけてもらいたいです。
「フランス国民議会議事堂(ブルボン宮殿)」
陸奥新報社 2026年(令和8年)8月31日 掲載PDF
ライター:人文社会科学部3年 中林 楽依
イラスト:教育学部4年 関川 智乃
担当 :弘前大学総務部総務企画課秘書室/広報・情報戦略課広報室
