加齢に伴う下肢筋力の低下に運動習慣が及ぼす影響

内容

加齢とともに筋肉が衰えることは古くから経験的に知られており、「足腰が弱る」と表現されてきました。生きていく上で重要な生活機能である歩行能力は、足腰が弱ることで低下し、健康寿命の短縮に大きく関わっています。一般地域住民を対象として、全身筋肉量と脚伸展筋力の測定から、加齢に伴う下肢筋力の変化に運動習慣が及ぼす影響について、疫学的に調査・検討を行いました。加齢による筋肉量の減少・筋力の低下であるサルコペニアは糖尿病、高血圧や骨粗しょう症などの生活習慣病と同様に多因子疾患です。したがって、調査方法は多くの関連要員を同時に測定でき、影響を調整可能な疫学研究としました。除脂肪量は男女とも60歳代より低下し始め、脚伸展筋力および脚伸展筋力/除脂肪量については加齢による低下開始に性差がみられました。運動習慣を保つことで、男性では下肢筋力低下を抑制でき、女性では下肢筋力の低下時期を遅延させる可能性が示唆されました。