細菌30Sサブユニット生合成の全容把握の鍵となるGTPaseの機能解析

内容

リボソームは数十のコンポーネント(rRNA・リボソーム蛋白質)から構成され、多数の活性部位を備えた巨大な複合体です。細菌の細胞質ではrRNAの転写・rRNA前駆体へのリボソーム蛋白質の逐次的結・rRNAの段階的な切断・rRNAとリボソーム蛋白質の修飾・段階的なフォールディングを経た全体構造の形成、といった多数の過程が並列的に進行する複雑な過程を経ながら、僅か数分のうちに斉一な構造をもったリボソームが完成します。この高度な生体プロセスを実現するためのトランスに働く因子として多数の候補があげられてきましたが、具体的な機能が明らかにされているのはRsgAというGTPaseただ一つです。GTPase Eraのリボソーム生合成における機能を明らかにすることができれば、これをターゲットにする抗生物質の開発が可能です。従来型の抗生物質は、耐性菌の蔓延によってその使用が制約を受けるようになっています。リボソームの生合成の過程およびassembly因子は、抗生物質の新たなターゲットとして注目されており、医療等の応用分野にも直接寄与することが期待されます。