持続可能な山間地環境の保全・防災

内容

国内有数の隆起量と積雪量、そして脆弱な地層により、白神山地では、大小さまざまな地すべりが発生します。これらは変化に富んだ微地形やさまざまな植生遷移の段階を生み出し、多様な環境を創り出す働きも持っていることから、地すべりの発生原因や危険個所を調べるだけでなく、そこでの植生の回復過程についても調査を行っています。このような地生態学的研究によって、生き物と大地が互いに影響し合い形作られる森林の姿を明らかにしています。また、森林の樹木は光合成を行うことから、森林は温室効果ガスの固定源として貴重な存在です。一方で、樹木の呼吸に加え森林の土壌中の有機物の分解により、森林生態系からは二酸化炭素が放出されており、温暖化が進行すると土壌呼吸量は急激に増大するといわれています。白神自然観察園では、ヒーターにより擬似的に温暖化した環境を作り出す実験を行っており、地温1℃の上昇に対して土壌呼吸量約1割の増加が認められました。