水田転換畑における土壌水分移動予測

内容

農地における土壌水分移動現象の解明は、作物生産の効果性向上に有用です。近年の気候変動や土地利用変化に伴いその必要性が増してきています。土壌水分は作物の発育・生育に影響を及ぼし、土壌水分の移動は土壌中の養分や汚染物質の輸送を伴っています。水田から畑に用途を転換した水田転換畑は、土壌が粘質にて構成されている事が多いため、水はけの状態を把握しておく事は非常に重要となります。

精度の高いシミュレーション技術には、土の性質(水はけ、水持ちの良さ)や作物の根の深さや密度などを考慮に入れる事が重要であることが分かっています。これまでの研究にて、粘質土と砂質土の水田転換畑(ダイズ・オオムギ)における根圏(土壌で直接根の作用を受ける部分)の土壌水分移動予測を行い、裸地条件仮定では再現できなかった結果を得ることができました。本技術は降雨量などの環境変化による土質予測シミュレーションへの適用も可能であり、今後更に気候変動に伴う気象条件の変化や,土壌の性質の変化などの環境因子を加えて検討を重ねることでより高精度な日本版土壌水分予測システムの開発を目指しています。