ボディイメージに関する臨床心理学的研究

内容

 私たちは自分の身体をどのように認識しているのでしょうか。また,そのような身体への認識は何に影響を受け,私たちの日常生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。このように身体への態度とそのことに関連する様々な現象に関して,心理学領域ではボディイメージという概念が導入されています。
 私はこれまで,このボディイメージの問題について研究を進めてきました。その中でも特に,自分の容姿を醜いのではないかと思い悩み,その結果,社会的,対人的,職業的損失を被ってしまう醜形恐怖症 (Body Dysmorphic Disorder; BDD) と呼ばれる臨床像に着目をしています。近年,こうした症状は一般の健康な人たちの中でも見られることが指摘されています。こうした身体の悩みについての原因やこれらに関連する不適応問題,そしてそれらを改善するための臨床心理学的アプローチに関して研究を行っています。
 一方で,このようなネガティブなボディイメージを改善するのみならず,ポジティブなボディイメージを促進することで,心の健康を維持・増進していくことの重要性も謳われているところです。この視点に立ち,現在,ポジティブなボディイメージの測定法の確立にも取り組み始めているところです。