日本古代地域支配構造の研究

内容

日本を考える上で、世界の中でみた日本の歴史、またそれぞれの地域で育まれてきた歴史を考えることは不可欠です。私は、日本が国家としての道を歩み始めた古代において、いかにして国家による支配がなされたのか、そのもとで人々がどのように暮らしてきたのか、という点に関心を持っています。また、これを明らかにするために、律令を中心とする法制的側面と、木簡など出土文字資料の検討による実態的側面の双方から研究を進めています。
主な研究テーマは、古代の倉庫についてです。日本の国制を担った律令篇目のうち、倉庫令は、倉庫の出納・管理について定めますが、日本令は散逸して一部しか今日に伝えられていません。そこで中国・唐の律令の比較研究を通じて、具体的な内容を明らかにすることを目指しています。また、古代倉庫は人々に対する徴税の中心施設として機能していました。倉庫に関わる文字資料を精査して、当時の人々が実際にどのように倉庫を運用していたのかについて調べています。
また、青森の歴史についても、南からの国家支配の影響、北の北方世界の影響双方を視野に入れつつ、その実像に迫りたいと思っています。