安定同位体を用いた呼気検査手法の開発

内容

膵臓や腸の状態を簡便に検査するために、13C安定同位体を用いた呼気検査への応用開発を行っています。現在、13C安定同位体を用いた呼気検査においては、腸内のピロリ菌感染診断にて実用化されています。
呼気検査の実用化により検査環境の改善と検査時間の短縮が可能になるため、我々は①膵臓の外分泌(消化酵素分泌)機能を現在の尿検査(PFD)から呼気検査に、②腸内細菌過剰症候群を現在の便検査や腸液検査から呼気検査への実用化を目指しています。
一例として、腸内細菌過剰症候群の患者さんは、小腸での腸内細菌が過剰状態となり腹部膨満や下痢、吸収不良等の消化器症状を引き起こします。この小腸環境を診断するため、13C-グリココール酸を用いた呼気検査が有効である事を実証する事ができました。腸内細菌過剰症候群の患者さんは、13C-グリココール酸が小腸内で腸内細菌によって分解されるため、健常者と比較して呼気13CO2を数時間早く検出する事ができます。この経時的な特徴を活用する事で、腸内細菌過剰症候群の呼気診断が可能です。