抗膵臓繊維化に有効な創薬ターゲットの検討

内容

 肝臓の繊維化による肝硬変は広く知られるようになりましたが、消化液やホルモン分泌を担っている膵臓も繊維化が起こります。膵臓の傷害が生じた際の修復時に繊維化が起こると考えられていますが、明確な機序や原因及び中心的な役割を担う膵星細胞については未だ解明されていません。我々の研究グループでは、膵星細胞の活性化に関するメカニズムについて検討しています。これまで、繊維芽細胞の増殖抑制作用を示すトラニラストが膵星細胞の活性化を抑制し、抗繊維化作用を示す可能性を見出しており、これらの機序を新たな創薬ターゲットとして研究を進めています。
 また、2型糖尿病で高値を示す繊維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factor;FGF)21は糖・脂質代謝に関与しており糖尿病治療の新たな創薬ターゲットとして検討が進められていますが、膵炎モデル動物においては膵星細胞の活性化とFGF-21に関連があることが知られています。我々は、膵星細胞の検討を進めるとともに膵性糖尿病におけるFGF-21の解析を行います。