マグネシウムをエネルギー源とする環境低負荷型物質変換反応

内容

 マグネシウムを用いた物質変換反応の開発を行っています。特に、大気中に豊富に存在する窒素分子の化学肥料の原料として需要の高いアンモニアへの変換をめざしています。マグネシウムは電子を放出する際、温室効果ガスを排出しません。また、このとき生成する塩化マグネシウムは回収でき、マグネシウムへと再生できます。固体で軽量なため、貯蔵・輸送に向くことも注目に値します。以上よりマグネシウムは、環境低負荷なエネルギー源と捉えることができる、と考えています。
 当該研究は、世界的な課題である「環境・エネルギー問題」の解決へ向けた取り組みであることに加えて、青森への貢献につながる可能性が期待できます。具体的には、マグネシウムを基盤とするエネルギー社会の実現です(関連画像参照)。まず、海中に豊富に存在する塩化マグネシウムをとりだします。これを青森県の強みである風力や地熱のエネルギーを用いて、マグネシウムへと変換します。この過程は、自然エネルギーをマグネシウムへと貯蔵することに相当します。蓄えたエネルギーを、本研究で開発する方法で、アンモニア合成に使用します。このとき、副生する塩化マグネシウムをマグネシウムへと再生すれば、マグネシウムの循環サイクルが成立します。合成されたアンモニアは肥料へと変換され、農作物生産に利用できます。このようなエネルギー社会を実現することにより、青森県に新たにマグネシウムの精錬と利用を担う産業が創出される、と期待されます。また、エネルギーを自ら生み出し、自ら消費する社会となりますので、エネルギーの地産地消ということができます。
 この構想は、化学を専門とする私の力だけでは実現不可能であり、他分野(特に金属分野、エネルギー分野)の専門家や企業、地域社会との連携が必須です。この構想実現に向けて協力していただける方、ご意見いただける方をこちらとしても求めています。