バイオマス材料を原料とした基幹化合物・エネルギーの生産

内容

 cis,cis-ムコン酸(ccMA)は、ペットボトルやポリエチレンの原料になるテレフタル酸や、ナイロンの原料となるアジピン酸の合成前駆体として知られており、非常に汎用性の高い基幹化合物です。本研究は、植物由来のバイオマス材料からccMAを効率的に生産する事を目指しています。
 ccMAは、バイオマスの構成成分である糖質やリグニン系芳香族化合物から、代謝中間体のプロトカテク酸(PCA)を経て合成する事が可能です(図1)。従来、PCA脱炭酸酵素(Pdc)反応効率に課題があったため、効率よくバイオマス原料からccMAを生産することはできませんでした。我々はその課題解決を目指して研究を実施した結果、Pdcの活性を向上させる因子を同定し、PCA脱炭酸反応の効率をこれまでの20倍に向上させる事に成功しました。
 現在までに、リグニン系芳香族化合物の一種であるバニリン酸から、80%以上の収率でccMAを生産できる微生物株を分子育種しました。