原位置における酸化還元電位連続計測による温泉帯水層モニタリング技術の開発研究

内容

 地熱開発を進めるうえで予定地周辺に温泉が存在する場合,温泉への影響を防ぐ必要があると同時に,温泉帯水層中の温泉水が化学的にもともとどのような変動特性を有しているのかを明らかにしておく必要がある。また,近年普及が進んでいる温泉発電(地熱バイナリ―発電)では,継続的に温泉水を利用するにあたって温泉水質の変動を解明するためのモニタリングが重要である。このような状況下において,温泉水の酸化還元電位に着目し,温泉帯水層におけるその変動特性を解明するための温泉帯水層モニタリング技術の開発研究を実施した。温泉水の酸化還元電位は,温泉が多く立地する火山周辺に多く認められる硫化水素等の火山ガスの影響を受けるが,過去計測事例が非常に少ない。
 本研究開発において温泉水の酸化還元電位を原位置で計測した結果,ある一定の非常に低い値を示すことが明らかになった。その結果,温泉帯水層の酸化還元電位モニタリングの継続的な実施により,地熱開発等の影響(例えば,異なる地下水流動系の地下水の温泉帯水層への混入(混合))を評価することが可能であると考えられた。さらに,温泉水のモニタリング項目としても酸化還元電位が重要であることが示唆された。今後の課題は,温泉帯水層における原位置の酸化還元電位連続計測の積み重ねである。