感温磁性流体を用いた中低温熱輸送用小型デバイス

内容

 近年の電子機器は、小型化や高性能化に伴い発熱密度の増加が問題となっています。発熱密度が増加すると電子機器の故障や不具合の原因になるため、小型で高性能な冷却デバイスの開発が求められています。現在使われている冷却デバイスに、ヒートパイプやペルチェ素子などがありますが、作動する温度域が比較的高温、素子自体の発熱などの課題も残されています。我々は、低温から中温で作用する感温磁性流体を用いて冷却デバイスの開発を目指しています。
 デバイスの動作原理は、磁性流体に温度差を生じさせて高温側の磁化を弱くさせる事により磁化の非平衡状態を生じさせて、高温側への流動力を発生させています。これまでの実験により、10℃以上の温度差があれば流動する事、温度差の増大により磁化の非平衡状態が促進されて流量が増加することが分かりました。
 本デバイスは、無電源・ポンプレスのデバイスとしてユニークな特徴をもち、低中温のごくわずかな温度差にて作動する実用性も兼ね備えた新たな熱輸送・冷却デバイスになる事が期待されます。