観察研究で得られた臨床医学データベースからの因果関係推測のための統計的方法論とその応用

内容

 情報通信技術の革命的発展により広領域にわたり大規模に蓄積されるデータベース環境が整備されてきました。また、効率よく有用な情報を抽出するための技術は、情報科学、統計科学を中心に活発に研究されるようになってきており、今日の機械学習分野やビックデータ解析の基礎を形成するに至っています。ただし、現存の機械学習などの発見的方法は、社会科学・工学分野(マイクロアレイデータ解析も含む)などにおいて広く関心を与えてきたものの、臨床医学データへの適用は依然として限定的です。発見科学と検証科学の隔たりを埋める可能性を強く、有意義にもっているのが、元々統計的推論過程に根ざして、回帰分析における高度な予測ツールとして発展した樹木法です。そこで、樹木法などのノンパラメトリック回帰のような高い予測力をもつ統計手法と、パス解析やグラフィカルモデリングといったデータの背後にある因果関係推測するために適した統計手法を融合することを目指しています。