鉄筋コンクリート構造物を修繕する“合理的”な新奇手法

内容

 日本国内における鉄筋コンクリート構造物の多くが高度経済成長期に建造されており、現在その大多数が修繕や更新の時期になっています。現在、主に行われている修繕方法は2つの工程に分かれており(1)コンクリート材料自体の劣化に伴う補強工事(力学性能の回復)と(2)電気防食などによる鋼材腐食を防ぐ耐久性能向上の工事です。
 我々が提案する新奇手法は、上記(1)と(2)を別々に実施するのではなく、双方を一回の施工で実現させる点で効率的な工程かつ費用の縮減につなげる事が可能です。既存の方法と大きく異なる点は、補強工事において繊維強化プラスチック(FRP)を用いる点にあります。耐久性能向上を目的とした電気防食工法の施工時に、力学性能回復を目的としたFRP棒材の埋込補強工事を施工する事で、二度手間を防ぐ合理的な施工を行う事ができると考えています。
 本手法は、数十年の長期使用を前提としたこれまでの修繕工事とは異なり、安全面を考慮に入れながらも建築物の使用予定年数や限られた予算を考慮に入れた新奇な修繕方法として実用化が期待されます。