超音波治療の適応疾患と治療効果に関する研究

内容

 超音波治療の生理的な作用は、温熱効果と非温熱効果(機械的効果)に大別されます。これらの効果は、通常のリハビリテーション訓練と併用することで大きな成果を生むと考えられますが、超音波治療は設定すべき組み合わせが多岐にわたるため、その効果について統一した結果が示されていません。しかし、超音波が有効性を発揮する治療機器であることは明らかであり、臨床応用につなげるには照射方法や照射頻度の設定および治療対象となる疾患についての研究が不可欠になってきます。研究では、脳卒中と放射線皮膚障害をターゲットに超音波治療に関するエビデンス構築を目標に実験によるデータ収集を行っています。
 脳卒中患者は発症後の運動麻痺や疼痛により、日常生活に必要な関節運動が十分に確保できない場合があります。超音波治療による温熱効果は、鎮痛作用や筋スパズム軽減による関節可動域拡大が期待できることから、効果的な超音波治療の設定や部位について検討しています。
 放射線皮膚障害は、工業や医療現場での放射線を用いた検査や治療に起因する事例が多数報告されていますが、これらにリハビリテーション治療が実施された例はほとんどありません。研究では、ラット後肢の放射線皮膚障害モデルを作成し、超音波治療による非温熱効果が放射線による組織の治癒促進につながるか否かを検討することで、超音波治療の適応疾患の拡大につなげていこうと考えています。