作業活動を用いた認知症治療法の開発

内容

 高齢者社会の進展に伴い、認知症者の増加も大きな社会問題となっており、2025年には認知症者数が約320万人に増加すると予測されています。認知症の症状は記憶力低下や注意力低下といった中核症状や、それに伴う、徘徊や抑うつといった周辺症状など多岐にわたり、それらに対する治療が注目されています。現在、認知症の治療は薬物療法が主流ですが、薬物療法は身体への負担が指摘されており、非薬物療法への期待が高まっています。認知症における非薬物療法では、周囲の環境を調整する方法と、暗算や、音読、歌唱といった様々な作業活動を用いてその症状を改善する方法が採られています。特に、この作業活動を用いる方法というのは、対象者自身の趣味や嗜好にあった作業活動を選定することにより、対象者自身が自発的に取り組むことができ、認知症症状の更なる改善効果や、生きがいの再獲得といったことが期待されます。この作業活動を用いる認知症の治療について、注意、記憶といった側面からだけではなく、心理面や「生活の質」といった側面からも効果を検証しています。