化学療法誘発口腔粘膜炎新規治療法に向けたがん関連線維芽細胞特異的免疫機構の解明

内容

 がん関連線維芽細胞と歯肉線維芽細胞の化学療法誘発口腔粘膜炎潰瘍期における、初期免疫応答能の差異・機序の解明とがん関連線維芽細胞回復期モデルを作成し、新規治療法へと展開できる研究を行っています。歯肉癌細胞・舌癌細胞と歯肉線維芽細胞を共培養し、各口腔癌由来のがん関連線維芽細胞モデルを作成、培養します。抗悪性腫瘍剤添加によるがん関連線維芽細胞のRIG-IやTLR-3,-4,IL-8,TNF-α,TGF-βなどの炎症性サイトカインやMMPs(マトリックスメタロプロテアーゼ)の遺伝子発現・タンパク産生について明らかにし、各癌細胞由来での差異を確認します。歯肉癌由来がん関連線維芽細胞においてRIG-IやTLR-3,-4が発現低下していることが明らかとなり、がん関連線維芽細胞は細菌・ウイルスの認識をせずにサイトカインを産生、残存し、また周囲組織を破壊することで口腔粘膜炎を遅延させ、各種口腔癌での粘膜の治癒機序の差異に起因することが予想されます。