弾性系線維の形成メカニズム解明と応用展開

内容

 人体の細胞外組織は、コラーゲン線維と弾性線維の2種類に大きく分けることができ、弾性線維はその語の通りゴムのように伸び縮みする性質をもった線維です。それゆえ、弾性線維は伸び縮みが特に必要とされる動脈、靱帯、肺、真皮などに存在している事が知られています。弾性線維は、オキシタラン線維(微細線維)を足場にして、エラスチンが沈着した構造になっています。また、エラスチンを含まずにオキシタラン線維だけで構成されている部位もあり、これら全てを包含して弾性系線維と称しています。
 これまでの研究で、弾性系線維の分子特性解明を行い、ヒト培養細胞を用いてオキシタラン線維やエラスチンを抽出する事ができる培養系の確立に成功しました。今後は、本培養系を用いて紫外線又は放射線照射が目の毛様体小帯や皮膚などの弾性系線維に及ぼす影響を解析する応用研究へと発展させていきます。
 例えば、皮膚のテーマにおいては、紫外線照射による弾性線維の動態を明らかにすることで、紫外線による弾性力低下に最も関与する分子の特定が期待でき、化粧品への応用開発へとつなげる事ができます。