スタフィロキナーゼを用いた脳梗塞治療

内容

 現在、国内で約100万人の方が脳梗塞を患っています。脳梗塞を発症した際には、組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)により血栓を溶解する治療が行われています。しかし、副作用リスクの観点からt-PAを投与できるのは脳梗塞発症4.5時間以内とされている(保険適用)ため、t-PA静注療法は新規脳梗塞の5%未満にとどまります。本研究は、より多くの脳梗塞患者様を副作用の少ない内科的治療にて治癒する事を目指しています。
 t-PAは諸刃の剣であり、血栓を溶かすと共に脳血管を被覆する外壁のような役割である血液脳関門を破壊します。このため、t-PA静注療法の主な副作用として、脳出血リスクの増加や脳浮腫の悪化が挙げられます。そのような副作用リスクを引き起こす可能性が少なく(血液脳関門を破壊せず)、t-PAと同等の効果が期待される代替物質を探索した結果、スタフィロキナーゼが有用な物質であるという事を見出しました。
 現在、スタフィロキナーゼを用いたin vivo実験を実施しており、t-PAと同等の効果があることを確認しています。今後、血液脳関門への影響にてt-PAに対して優位である事を実証し、創薬開発へと繋げてまいります。