子宮内膜癌の病理学解析

内容

 子宮内膜癌は、乳癌や前立腺癌と同様に生活様式の欧米化に伴い近年増加しており、欧米の傾向から考えるに今後さらに増加していくと考えられています。
 私たちは、子宮内膜癌の発生や進展のメカニズムを分子病理学手法を用いて解析しています。
一例としては、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンと子宮内膜癌との関連を研究しています。子宮内膜癌の癌化は、エストロゲンの過剰刺激と遺伝子異常の蓄積により細胞増殖制御が破綻することにより起こり、プロゲステロンはその癌化を抑制する作用があると考えられています。しかし、その詳細なメカニズムは未だ不明です。我々は、子宮内膜癌細胞を用いたin vitro試験の結果、エストロゲンの増殖刺激、プロゲステロンの増殖抑制に関連する細胞周期制御因子の動態を突き止めました。さらに、臨床検体を用いて癌抑制遺伝子であるp53遺伝子を代表格とした幾種類かの子宮内膜癌予後不良因子を明らかにしました。
 現在、乳癌では分子標的治療が実用化しており、子宮内膜癌でも今後期待が高まります。その為には、癌発生機序や細胞増殖・抑制パスウェイの解析を通した分子病理学的検討が不可欠であり、本研究の推進が期待されます。