内容
高線量の放射線被ばくは、白血球の減少を主要な症状とし、被ばくが原因となり死亡してしまう事もあります。それゆえ、被ばくした放射線の線量を評価するツールは大変重要です。
既に、国際原子力機関(IAEA)が染色体異常を検査する標準法を定めており、正確な評価は可能になっていますが、診断までに3日以上の時間を要する欠点があります。致死線量の被ばくをした場合には、数日から数週間以内に死亡してしまう事もあるため、致死線量の被ばくか否かを迅速に診断できるツールが必要とされています。
我々は、致死線量の被ばくをした際に血清中に増加するバイオマーカーの探索を行った結果、特定のmicroRNAが特異的に増加する事を明らかにしました。このmicroRNAは、放射線に感受性の高い臓器(胸腺、小腸、精巣など)で高発現しているmicroRNAで、被ばくによって血中に放出されると考えられるため、急性放射線障害のバイオマーカーとしての応用が期待できます。