フラビウイルスの増殖機構解明と創薬への応用

内容

エボラ出血熱等の新たな感染症対策は世界的な問題になっています。また、日本国内においても2014年にはデング熱の感染者が報告されており、対応が求められています。
デング熱は、デングウイルスの感染症であり、デングウイルスはフラビウイルス科に含まれるウイルスです。現在、我々はこのウイルスを含むRNAウイルスの増殖機構を分子レベルで解明し、増殖抑制に有効な化合物の探索を目指しています。
ウイルスに感染すると、小胞体の近くに通常細胞には見られない新規のオルガネラ(細胞内器官)が形成され、ウイルスゲノムの複製と粒子形成が行われる事が分かりました。この「巣食う」現象を明らかにするため、オルガネラの抽出と精製、プロテオミクス解析やin silico解析等を用いて、ウイルス複製に関与するタンパク質群を同定することができました。今後、ウイルス増殖に関連するこのタンパク質群と相互作用する化合物を探索する事で、抗感染症薬のリード化合物の創出が期待されます。