癌転移予防を目指した放射線治療

内容

 癌治療において、放射線治療は極めて有効な治療法として知られています。しかし、放射線治療では、癌の転移を抑える事はできず今後の克服すべき課題として認識されています。
 癌組織には、美容や健康に良いとして知られる「ヒアルロン酸」というタンパク質が豊富である事が知られており、癌の転移過程においてもヒアルロン酸が働いていると考えられています。そのため、ヒアルロン酸の合成を抑えるか除去する事により、癌治療に活用する事が可能です。
 現在、抗癌作用と転移抑制機能をもつヒアルロン酸合成阻害物質と放射線治療を併用した癌治療の有効性につき検討しております。細胞試験段階では、放射線照射のみのコントロールと比較して、放射線照射をヒアルロン酸合成阻害物質と併用することにより、ヒアルロン酸濃度において有意な結果を得ることができました。この結果から、併用治療が癌細胞の転移抑制に有効であると考えられ、今後の臨床応用が期待されます。