癌細胞表面糖鎖を標的としたバイオマーカーの探索と新規治療法の検討

内容

 細胞の癌化に伴い、細胞表面の糖鎖構造は正常細胞とは異なった構造変化を起こすことが知られています。様々な癌細胞において糖鎖変化と癌の発症、悪性度の上昇について報告がなされておりますが、そのなかでも前立腺癌は近年急激に増加してきており、過剰治療を回避して患者個別の治療計画を立案するシステムを構築することが世界的な課題となっています。そこで、細胞表面の糖鎖に注目し、癌細胞の悪性化に伴う糖鎖変化を捉える抗体を樹立し、癌の悪性度および治療抗体としての可能性を検証することを目的に研究をおこなっています。
 作製を目指す抗体は性質上、癌細胞表面もしくは分泌タンパク質の糖鎖変化を捉えられるため、血清、尿を用いた体液診断系による新規前立腺癌悪性度診断法の構築に利用可能であると考えております。さらに、抗体医薬品および癌細胞特異的な薬剤送達にも応用可能であると予想されることから、高悪性度および再発癌に対する新規治療法の開発を目指しています。