髄膜脳炎を惹起するバラムチアマンドリルリスの青森県下棲息状況と感染経路の解明

内容

 これまで国内で分離報告のないBalamuthia mandrillarisの国内生息状況を明らかにする試みです。土壌から直接DNAを精製し、PCRと遺伝子解析で、日本国内の土壌環境下における地域局在性や北限域、土種・土性の違いによる生息特異性を検討します。感染経路が不明であったバラムチア感染症の、感染機会の特定や予防法の社会への周知を行うことを目的としています。近年、自由生活性アメーバによる難治性の角膜炎や髄膜脳炎が国内外で散発的に発生しています。両疾患の治療法が確立されておらず、アメーバ性髄膜脳炎はほぼ100%の割合で死に至り、生存者も重い中枢神経系の後遺症を抱えています。青森県内土壌から直接DNAを採取し、B. mandrillaris 特異的なPCR Primer で増幅しました。また培養による分離も試み、1土壌検体から大型アメーバの分離に成功しました。この環境分離アメーバをAYBとし、同Primerで増幅したところ、バンドを確認できました。自然環境下からの Balamuthia mandrillaris の分離は世界で6例目、国内では初です。