核酸受容体であるp2y受容体をターゲットにした新規アレルギー治療薬の開発

内容

 好塩基球のIgE誘導性活性化および脱顆粒反応に対する細胞外ヌクレオチドの作用を確認して、P2Y受容体がアレルギー疾患治療のターゲットになり得るかを検討します。 ヌクレオチドはアレルギー性炎症などの炎症反応により死細胞から細胞外へ漏出します。細胞外ヌクレオチドの受容体であるP2Y受容体は、多くの細胞で発現や生理活性が確認されています。ヒト末梢血好塩基球においてP2Y6,P2Y12,P2Y13受容体の強い発現が確認され、P2Y6受容体のリガンドでるUDP存在下において、好塩基球をIgE誘導性活性化を行ったところ、好塩基球活性化マーカーであるCD203cの発現量に変化は見られず、脱顆粒マーカーであるCD63の発現量が増加しました。また、脱顆粒反応に必須である細胞内カルシウム濃度の上昇も促進することが確認されました。好塩基球は、P2Y受容体を介したUDPの刺激により細胞内カルシウム濃度が上昇し、IgE誘導性脱顆粒反応が促進することが確認されました。アレルギー性炎症により細胞外に漏出したUDPは、P2Y6受容体を刺激することで、アレルギーの症状を増悪化させることが示唆されました。