うつ病による認知機能低下の機序解明

内容

 うつ病の発症に伴う高次脳機能の低下について前頭前野の機能変化に着目した研究を進めています。高次脳機能の低下に繋がる神経回路異常を抑制し、分子・細胞レベルの病変を抑えることが可能な予防法および治療法の開発に繋がることが期待されます。うつ病の発症は個人の生物学的特性に加えて心理社会的ストレスが関与すると考えられています。社会性や認知機能の低下(ひきこもりや注意欠陥)は社会的関係を悪化させ、更なるストレスを生むことから、社会性や認知機能の低下機序の解明が求められています。心理社会的ストレスが認知機能に及ぼす影響ついて電気生理学的検討を行い、注意の維持が必要な行動課題遂行中に心理社会的ストレスを経験したラットの前頭前野神経活動を記録したところ、コントロールラットとは異なる活動を示しました。この結果はストレスにより注意を維持する前頭前野神経回路に異常が生じたことを示します。