遺伝性網膜変性疾患の治療法検討

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内容

網膜色素変性は遺伝性の目の病気で、物を見る時に目の中で働く網膜というカメラで言えばフィルムに相当する薄い膜が先天的に弱い方に発症します。日本人の視覚障害者の原因疾患としては緑内障、糖尿病についで第3位に多い病気です。原因は網膜に関係する遺伝子に何らかの突然変異が起こって発症しますが、多くは遺伝性で両親から病気の遺伝子を引き継いで発症します。現在のところ、確実な治療法はありませんが、進行を予防する薬物やiPS細胞による再生医療、人工網膜や遺伝子治療などの最先端の医療技術の発展が期待されています。
弘前大学眼科ではこのうち、網膜を保護して網膜色素変性をできるだけ進行させないようにする薬物の開発を大きな目標にして研究を行っています。1つ目は、高血圧の薬でカルシウム拮抗薬のニルバジピンです。臨床研究を行った結果、内服した患者さんのグループが内服しなかった患者さんのグループに比べて平均で進行が遅れることが分かりました。2つ目は、カルパインという酵素を抑制するペプチド(10残基)を本学農学生命科学部と岩手大学との共同研究で開発し、点眼で動物に網膜変性を遅らせることを確認しました。同ペプチドは、硝子体内注射剤や点眼剤の有効成分として利用可能と考えられます。