薬剤反応予測システムの開発と細胞間接着因子の解明

内容

 新しい血流評価の確立と、がん細胞の転移・浸潤におけるヒアルロン酸の役割や遺伝子変異の解明を進めてきました。ヒアルロン酸は全ての真核生物が産生する多糖の一種であり、発生や創傷治癒、癌の増殖など様々な生命現象において、重要な役割を担っています。4-methylumbelliferone(MU)はヒアルロン酸の合成を特異的に抑制する作用を有し、癌の治療に有用であることを私達の研究グループが世界で初めて見出し、報告してきました。現在、手術治療以外の癌治療では、抗癌剤や放射線といった、癌細胞そのものを攻撃する考え方が中心となっていますが、MUは癌細胞を取り巻く細胞外マトリクスを標的としている点で、従来の方法とは一線を画しています。癌細胞周囲の微細環境の改変がおよぼす影響について、生化学的・病理組織学的分析を行っています。また、臨床応用を目指して、各種抗癌剤との併用療法や、安全性の確認を進めています。