蛍光ブドウ糖によるヒトにやさしいがん診断技術の開発

内容

 がん細胞は増殖時のエネルギー源としてブドウ糖 (D-グルコース)を細胞内に多量に取り込みます。この性質を利用したがん診断法として、放射性標識したD-グルコースの取り込みを画像化する陽電子放出断層(PET)があります。しかしPETはがん以外の細胞への取り込みと識別できない場合があること、検出技術の限界により小さながんの早期発見が困難であること、放射性物質を使用するため妊娠可能性のある女性で使用できない等の課題があります。そこで、自然界になく正常な細胞が利用しないL-グルコースを蛍光物質で標識した蛍光L-グルコース(fLG)を開発し、動物やヒトのがん細胞に適用したところ、fLGは正常細胞には取り込まれずに悪性度の高いがん細胞に選択的に取り込まれ、がん細胞が蛍光で光る様子が観察されました。fLGを効果的に用いることで、小さながんを蛍光を用いて効率的に検出したり、悪性度の高い危険ながん細胞をそれ以外の細胞と識別できる可能があることから、現在弘前大学ではがん患者さんから得られた検体にfLGを適用し、その有効性を検証していく臨床試験を進めています。