新しい血管収縮分子coupling factor 6は核内酸性化を介する老化スイッチ!

内容

 降圧剤の進歩と降圧療法の普及により、高血圧は比較的容易にコントロールできる様になりましたが、今でも視力障害で受診し、そこで初めて重症高血圧と診断されるケースが発生しています。高血圧は老化と密接に関連しますが、両者の橋渡しとなるペプチド並びにその分子機構を明らかにしました。血管内皮は強力な血管拡張作用と抗動脈硬化作用を有する1層のバリアであり、内皮依存性弛緩因子がその役割を担っています。プロスタサイクリン、一酸化窒素、内皮依存性過分極因子の3種類があり、その産生低下は高血圧・動脈硬化の発症・進展を招きます。我々は、すべての内皮依存性弛緩因子を抑制し、高血圧を惹起するペプチドを発見しました。そのペプチドはcoupling factor 6で、細胞内酸性化を介して作用を発揮します。高血圧をきたす腎臓病の患者さんで特に血中濃度の上昇を認め、心臓病の発症と関連を有します。