臍帯血移植において早期造血機能回復を実現するアジュバント細胞の開発

内容

 臍帯血移植および骨髄移植は先天的・後天的に失われた血液細胞や腫瘍化した血液細胞を正常な状態に再生できる唯一の治療法です。臍帯血移植は骨髄移植に比べて、①移植ソースが容易に入手できる、②移植ソース採取に侵襲性を伴わない、③移植後に拒絶反応が起こり難い、という利点から臨床での実施数が確実に増加しています。しかし移植後、新たな造血機能回復までに時間を要するという欠点から、最悪な場合、治療効果が現れる前に移植患者さんが亡くなってしまいます。すなわち、臍帯血に含まれる造血幹細胞の血液細胞への分化速度を亢進させる必要があるということです(添付図参照)。したがって、臍帯血移植をより安全で有効性の高い治療法として確立するには、新たな移植法の開発が不可欠となります。現在、臍帯血移植と同時に併用投与することで早期造血機能回復を実現するアジュバント細胞の開発をマウスモデルで検証しています。