内容
抗生物質市場や臨床現場では、新規な作用機序に基づく抗菌薬を求めています。細菌に結合して菌膜を破壊するL-アミノ酸オキシダーゼ（ＬＡＡＯ）の細菌結合領域を解明することで、化膿性炎症、尿路感染症、感染毒素型食中毒などの再興・人獣共通感染症を引き起こす各種細菌に対して、局所的に結合して破壊する新たな選択的抗菌バイオ医薬品開発の可能性が広がります。多くの生物が分泌する液性成分には、細菌やウイルスに対して細胞致死やタンパク質分解能を示す物質が豊富に含まれており宿主の生体防御機構を担っています。我々は、河川汽水域に生息するヌマガレイ 体表粘液中から院内感染の起因菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA）、化膿性細菌である表皮ブドウ球菌、化膿性連鎖球菌ならびに集団食中毒を引き起こす腸炎ビブリオ等に対して抗菌作用を示す新規のL-アミノ酸オキシダーゼ（psLAAO1）を同定し報告しています。