陸奥湾のホタテ貝とホヤ類の鰓繊毛運動特性の研究

内容

 繊毛運動は、停止したり有効打の方向が逆転したり、状況に応じた制御を受けるが、細胞・分子レベルの知見は極めて少ない状況です。カタユウレイホヤの神経-シナプスの分子機構に着目して、解明を行い、ホタテ貝の鰓繊毛の運動パターンについて、高速度カメラを用いて分析を行いました。カタユウレイホヤは、透明で生きたまま繊毛運動を管雑できる、直接顕微鏡でアクセスできる、繊毛停止反応を簡単に引き起こせる、ゲノムが解読されているなどの理由から、繊毛運動研究の優れたモデルになります。アセチルコリンエステラーゼ組織化学染色により、鰓繊毛細胞に近接する神経核が見出されました。さらにカタユウレイホヤのゲノム情報からアセチルコリン受容体のサブユニット遺伝子を探し、10個の遺伝子を分類・命名しました。今後はマボヤ、ホタテ貝など、有用種での解析を進めていく予定です。