カシスに含まれる植物性女性ホルモンの効果

内容

 カシスは青森県の特産品の一つであり、アントシアニンを豊富に含む果実として知られています。アントシアニンは、食品の機能性成分としての注目も高く、メタボリック症候群の予防や視覚改善など様々な研究が行われています。最近、我々はカシスの新たな保健効果を探索したところ、カシスアントシアニンに女性ホルモン・エストロゲンに似た効果であるフィトエストロゲン活性があることを見出しました。
 本研究ではこれまでに、in vitro試験としてエストロゲン依存的に増殖する細胞を用いた細胞増殖アッセイやカシスアントシアニンとエストロゲン受容体との結合試験を行いました。その結果、in vitroにおいてカシスアントシアニンはフィトエストロゲン活性を示すことが明らかになりました。また、エストロゲンが分泌されていない雌のラットにカシス抽出物を3日間投与したin vivo試験の結果、部分的に子宮内膜の肥厚を認めました(図 右下BCE(1000mg/kg黒矢印、白矢印は正常部分))。
 カシスフィトエストロゲンの効果は実際のエストロゲンよりも弱いため、機能性食品等への応用を検討した際に、安全面において優位性をもちます。カシスアントシアニンは、エストロゲンを補うサプリメント食品として、エストロゲンの影響が大きい骨や血管などの機能改善さらには皮膚などの美容分野にも効果が期待できます。