ナガイモの高品質生産に向けた青森県上北地域・西北地域における根菜類作付畑地の土壌理化学性の改良

内容

「コブ・リング等の奇形が発生せず、また、根部障害が認められないで太く真っ直ぐに伸びた高品質なナガイモを生産するためには、どのような畑地生産基盤の特徴が要求されるのか?」ということを、土壌物理的な視点で探っています。具体的には、長年の踏圧により締固められた畑土壌について、土壌の透水性や保水性等の観点から研究しています。最近では、高品質なナガイモを生産する優良生産者の圃場の土壌物理性の特徴を理解することで、土壌透水性と保水性の指標を構築しようとしています。一般に、根菜類が正常に生育するための土壌硬度は15~18mm未満とされています。チェーントレンチャーとホイールトレンチャーを用いて形成したナガイモ植溝が土壌物理性や土壌硬度に対してどのようなインパクトを与えるのかを検討していたところ、東北町内の圃場(黒ボク土に粘土が多く混入)と十和田市内の圃場(多腐植質黒ボク土)において、土性と相対硬度の大きさに明らかな関係が認められました。また、チェーントレンチャーよりもホイールトレンチャーを用いて植溝を形成したほうが、相対硬度の増大により深度20~30cm付近に硬盤が形成されやすくなることが明らかになりました。ナガイモ生産圃場においては、土性や栽培管理体系が土壌硬度に大きな影響を与えます。このため、透水性や保水性が小さい圃場では、有機物の施用にみられる「土づくり」を推進するのが望ましいと考えます。しかし、土づくりだけでは対処できない場合においては農業土木的手法を用い、深耕に見られるような混層耕(土層改良)を実施することが望ましいといえます。

図3 2015年8月1~13日におけるナガイモ作付土壌の水分移動シミュレーション結果(つがる市)
(赤色領域:乾燥、青色領域:湿潤、左右の縦長の長方形:ナガイモの植溝、右下の円:深暗渠)