内容
現在、顕微鏡で細胞の運動状態を観察するためにガラスなどの高屈折率透明材料を用いて観察するのが一般的です。しかし、水などの培地との屈折率差が影響するため流路壁面部分等で影が生じてしまい、肝心な部分が鮮明に観察できない問題があります。
提案する新規手法では、フッ素ポリマーを材料として用いています。フッ素ポリマーは、屈折率が水に近く影が出来にくいという利点をもつ反面、加工が非常に困難な材料のため、フェムト(10-15)秒レーザーを用いる必要があります。この加工技術を用いて流路形成したフッ素ポリマーを使用した結果、これまで鮮明に観察できなかった壁面部分の細胞観察に成功しました(図参考)。さらに、フェムト秒レーザーを用いて細胞流路に障害物を形成する事も可能となり、障害物を経た細胞運動の変化観察も可能です。将来的には、対象をがん細胞とする事でがん研究への応用も期待できます。